10月1日から「家族滞在」の外国人がホール勤務可に 制度の中身と、議論のズレ
明日10月1日から、ホールの採用に関わる制度が変わります。
まず、制度の中身を正確に
これまで資格外活動では原則禁止されていた、ぱちんこ店等の遊技場営業店舗でのアルバイトが、10月1日から一定の条件のもとで認められます。対象は在留資格「家族滞在」の外国人。個別の資格外活動許可を受けることが条件で、すでに週28時間以内の包括許可を持つ人も別途申請が必要となります。
整理すると、こうなります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 在留資格「家族滞在」の外国人 |
| 対象外 | 留学生 |
| 対象業種 | 風営法4号(パチンコ店)・5号(ゲームセンター) |
| 条件 | 個別の資格外活動許可が必要 |
| 包括許可がある場合 | それでも別途申請が必要 |
| 就労時間 | 週28時間以内 |
7月の段階で業界団体の会合に出席した議員の説明によれば、対象となる家族滞在者は15万人程度。就労可能な時間は週28時間の範囲内。家族滞在者がパチンコ店等でアルバイトを行う際は、個別に出入国在留管理庁に申請し、適否が審査されることになるとされていました。
ポイントは「個別審査」です。 自動的に働けるようになるわけではありません。
業界にとっては、長年の課題だった
なぜこれがニュースなのか。背景には慢性的な人手不足があります。
人材紹介の業界メディアでは、以前からこう指摘されていました。
パチンコ業界は、慢性的な人手不足の業種。採用対象の外国人が「永住者」等の場合は就労が可能だが、他業種と比較して外国人雇用のハードルが非常に高いことは間違いない。就労ビザに関する法律の見直しが進まない限りは、パチンコ業界の人手不足の解消は業界の自助努力に加えて、人材ビジネス事業者の工夫によって解消されていく必要がある。
「就労ビザに関する法律の見直しが進まない限りは」。 まさにその見直しが、一部行われた形です。
現場の負のループ
人手不足の構造も、整理されています。
若い世代が少ない→新卒で十分に人が確保できない→人手不足の発生→既存従業員の負担増加→労働環境の悪化→早期退職・離職の発生→さらなる人手不足の発生→人材採用が難しく、補填ができない——という悪循環です。
先日、ホールのマナー問題について書いたときにも触れました。セルフ化で巡回する店員が減り、気づく機会が構造的に減っているという話です。
そして今月は、北海道で店長と従業員が閉店後に襲われた事件も扱いました。あのときも、少人数での退勤が増えている点に触れています。
人が足りないことは、打ち手の体験にも直結しています。
ところが、議論は別の方向へ行った
ここからが本題です。
この制度変更、拡散したのは業界タイムラインではなく、政治的な文脈でした。 引用には「実質的な移民政策」「景品の窃盗や転売が増える」といった声が並んでいます。
政策の是非については、意見が分かれる領域です。この記事で立場を取るつもりはありません。
ただ、制度の中身と照らし合わせて整理できる部分はあります。そこだけ書きます。
「家族滞在」は、既存の在留資格である
まず事実として、今回の変更で新しく人が入国するわけではありません。
| 今回の変更 | |
|---|---|
| 新しい在留資格ができる | いいえ |
| 新しく人が入国する | いいえ |
| すでに国内にいる人の働ける業種が増える | はい |
「家族滞在」は以前から存在する在留資格です。対象となる15万人程度の方は、すでに日本で生活しています。
今回変わったのは、その人たちがアルバイトできる業種に、パチンコ店とゲームセンターが加わったという点だけです。
入国管理の話ではなく、業種制限の話——これが制度の実際の位置づけです。
「景品の窃盗や転売」という懸念について
この指摘も出ていました。ただ、それを裏付けるデータは示されていません。
そして景品管理は、国籍に関係なく全従業員に関わる管理体制の問題です。
先日、ホールの台鍵が店内トイレに置き忘れられていたという記事を書きました。あのときも、「個人の不注意で片付けると再発する。仕組みの問題だ」と書いています。
また今月は、公務員がホールで他人のICカードを持ち去り、8,000円に換金して着服し、書類送検された事件も扱いました。
管理体制の話と、誰が働くかの話は、切り分けたほうが議論は進むと思います。
ただし、業界側も期待しすぎないほうがいい
公平を期すために、業界にとって都合の良い話だけを書くのもやめておきます。
この制度、人手不足を解消するには制約が多すぎます。
| 制約 | 意味 |
|---|---|
| 週28時間以内 | フルタイム勤務はできない |
| 個別許可が必要 | 採用までに審査の時間がかかる |
| 包括許可があっても別途申請 | 手続きの負担は小さくない |
| 対象は約15万人 | そのうち実際に応募する人はごく一部 |
週28時間はアルバイトの枠です。 店長や社員が足りないという構造的な問題には、直接効きません。
また、申請の手間も無視できません。ただし議員の説明では、行政書士による申請などで、本人が入管庁に行かなくてよいケースもあるとされています。
「少し楽になるかもしれない」程度に見ておくのが妥当だと思います。
ユーザーの反応
この制度変更への反応を要約して紹介します。
- 「慢性的な人手不足に悩む現場としては、選択肢が増えるのはありがたい」という声(業界側の反応要約)
- 「週28時間で個別許可が必要なら、影響はかなり限定的では」という指摘(制度の範囲を挙げる反応要約)
- 「出入国政策全体の流れとして、慎重に見るべきだ」という指摘(政策面から論じる反応要約)
- 「景品管理などのトラブルが増えないか懸念がある」という指摘(不安を示す反応要約)
- 「制度の中身より、政治的な文脈だけで語られているのが気になる」という指摘(議論の質を問う反応要約)
5つ目。これが今回いちばん感じたことです。
制度の話と、政策の話は分けたい
出入国政策全体をどう考えるかは、人によって立場が分かれます。それは正当な議論です。
ただ、今回の変更は「個別許可・週28時間以内・留学生は対象外」という限定的な業種制限の緩和です。
先日、オカルトと口コミの記事で、こんなことを書きました。
「パチンコという単語が入ると、思考が止まって反射になる」
そして浸水したホールの記事では、「批判するなら、正しい場所に。それが次の被害を減らす唯一の方法」とも。
今回も似た構図があると感じています。制度の中身を確認しないまま、大きな枠組みの話として語られている。
賛成でも反対でも、まず何が決まったのかを共有したほうが、議論としては生産的なはずです。
まとめ
10月1日から、在留資格「家族滞在」の外国人が、個別の資格外活動許可を受ければパチンコ店やゲームセンターで週28時間以内のアルバイトができるようになります。留学生は対象外です。
業界にとっては、長年指摘されてきた外国人雇用のハードルが一部下がる変更です。ただし制約が多く、人手不足の解決策としては限定的でしょう。
そして、拡散している議論の多くは制度の中身から離れた場所で交わされています。
政策の是非を語るのは自由です。ただ、その前に「何が決まったのか」だけは、正確に押さえておきたいところです。
※本記事は2026年9月30日時点の情報に基づきます。制度・数値は各種公開情報を参照しています。投稿の内容および反応はSNS上の投稿を要約したもので、原文の引用ではありません。
パチンコ・パチスロは18歳になってから。適度に楽しむ遊びです。のめり込みに注意しましょう。
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