豊丸産業、最終日の「愛をこめて」 66年を締めくくった公式ポストとファンの声
取材で全国のホールを回りつつ、空き時間があれば結局シマに座っている元パチプロライターです。数日前にこの件を書いたばかりですが、今日、続きを書くことになりました。
2026年7月31日、豊丸産業のパチンコ事業が停止
豊丸産業は7月28日にパチンコ事業の停止を発表し、7月31日をもって事業を停止。昨今の事業環境や経営状況を踏まえ、今後の事業継続について慎重に検討を重ねた結果の決定だとしています。
そして当日である今日、公式Xアカウントから最終メッセージが投稿されました。内容は要約すると、66年間支えてくれたファンへの感謝、そしてアンバサダーを務めた2名への感謝。締めの言葉は「愛をこめて」でした。
正直、この一行が一番効きました。事務的なリリースではなく、中の人が最後に置いていった言葉だと分かる文面です。
アンバサダー起用は最後の1年ちょっとの話だった
名前が挙がった2名について補足しておきます。豊丸産業は新コンセプト機「超甘LT(ラッキートリガー)」の認知拡大のため、パチンコライターの森本レオ子さんとパチ7所属のせせりくんを公式アンバサダーに任命していました。両名はコンセプトへの賛同を前提に就任し、先行導入店からの生配信やSNSで発信を行う体制でした。
「超甘LT」第1弾は『P【超甘LT】江頭2:50 in ナナシー 奇跡の99%』で、新宿・歌舞伎町の3店舗で先行導入されています。
大当り確率の軽さで勝負するという、これまた豊丸らしい振り切り方でした。最後まで「他社と同じことをしない」姿勢だったわけです。
ユーザーの反応
リプ欄は感謝と惜別が圧倒的多数。ただ、その中に業界の現実を見据えた声も混ざっていました。主なものを要約して紹介します。
- 「人生で初めて打ったのがこのメーカーの台だった。思い出をありがとうと言いたい」という声(感謝の反応要約)
- 「ナナシーやアニメタイアップ機に相当な時間を注ぎ込んだ。長い間お疲れさまでした」という声(感謝の反応要約)
- 「独創的で楽しい台を出し続けてくれたメーカーだった。この路線が消えるのが惜しい」という声(惜別の反応要約)
- 「攻めた台を作る会社ほど先に消えていく業界の構造こそが問題ではないか」という指摘(批判・懸念の反応要約)
- 「感謝の言葉はありがたいが、取引先や社員の今後がどうなるのかも気になる」という指摘(現実面を憂慮する反応要約)
4つ目と5つ目は、祝祭的な空気の中であえて出てきた声です。「ありがとう」で終わらせない視点を持つ人が一定数いるのは、この界隈の健全さだと思っています。
ファンが今日以降に知っておくべき実務の話
感傷はさておき、打ち手として押さえるべき点を整理します。報道によれば、対応方針は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 設置済みの台 | 事業停止後、直ちに遊技できなくなるものではない。各遊技機の検定期間中はホールの判断で設置・運用が継続される |
| 保守対応 | 部品供給や書類発行を含む保守対応は、終了日などを対象の取引先へ個別に案内 |
| 営業所 | 東日本営業所・西日本営業所は8月31日付で閉鎖 |
| 閉鎖後の窓口 | 名古屋本社に設置予定の「お問い合わせ・サポート窓口」で対応 |
| 公式SNS等 | 公式サイト・YouTube・Xは即時閉鎖の予定なし。ただし更新頻度は低下し不定期になる場合がある |
ここで効いてくるのが「部品供給の終了」です。台が壊れたときに直せなくなれば、ホールは撤去せざるを得ません。検定期間が残っていても、実質的な寿命は部品在庫が決めるという話になります。
打ち納めを考えている人は、この点を頭に入れておいてください。「まだ検定期間あるから大丈夫」は、必ずしも安心材料ではありません。
初心者向け:なぜ「独創的なメーカー」ほど厳しいのか
ここは業界構造の話になります。豊丸産業はVゾーン通過で確変に突入する「V確変タイプ」やV-STを世に送り出した会社として知られ、演歌歌手や芸人、寿司チェーンといった独自路線のタイアップでも話題を集めてきました。
ただ、この「独自路線」はビジネスとしては分が悪い。理由は単純です。
- 変わった台はホールが導入をためらう(客が付くか読めない)
- 導入台数が伸びない → 1台あたりの開発費負担が重くなる
- 大量導入されるメイン機と比べ、稼働データが集まらず次作に活かしにくい
結果として、堅実に売れる王道スペックを持つメーカーが残り、尖った会社から先に体力が尽きていく。今回の件を「時代の流れ」の一言で片付けたくないのは、この構造がずっと放置されてきたからです。
元パチプロとして思うこと
正直に言えば、私は現役時代、豊丸の台をほとんど打っていません。期待値で追える台が少なかったからです。当時の私にとって、あの島は「通り過ぎる場所」でした。
プロをやめてから、ようやく分かったことがあります。あの会社が作っていたのは、勝つための台ではなく、話したくなる台だったということです。友人と「あの台、企画会議どうやって通ったんだ」と笑い合える機種を、あれだけ長く供給し続けた会社は他にありません。
「愛をこめて」という締めの言葉は、その姿勢の総括として、これ以上ないものだったと思います。
まとめ
66年。設立から数えて、日本の娯楽産業の変遷をまるごと一つ見届けた長さです。その最後の日に投稿されたのが、業績の説明でも謝罪の繰り返しでもなく、感謝と「愛をこめて」の五文字だった。
私は今日、取材先のホールでバラエティコーナーを一周してきます。まだ残っている台があれば、そこで一回転させてくるつもりです。それが、この件について私にできる唯一の記録の取り方なので。
※本記事は2026年7月31日時点の公開情報に基づきます。事業停止の詳細および保守対応・営業所閉鎖の方針はグリーンベルト(2026年7月31日掲載)、発表内容の詳細はスポニチアネックス・ENCOUNT・オタク総研(いずれもYahoo!ニュース掲載、2026年7月28日)、アンバサダー起用と「超甘LT」の情報は豊丸産業公式サイトおよびグリーンベルト、DMMぱちタウンを参照しています。ユーザーの反応はSNS上の投稿を要約したもので、原文の引用ではありません。
パチンコ・パチスロは18歳になってから。適度に楽しむ遊びです。のめり込みに注意しましょう。