公開日:2026年8月15日
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浸水した店内で稼働し続けるパチンコ台 批判されるべきは客か、店か

SNSに上がった一本の動画が、大きな波紋を呼んでいます。床上まで浸水した店内で、パチンコ台が稼働し続けているという映像です。

千葉・佐倉市のホールで何が起きたか

まず、あの夜の状況を確認しておきます。

8月13日から14日明け方にかけて猛烈な雨が降り、千葉市では24時間雨量が350ミリを超えました。気象庁の解析では、13日午後7時30分までの1時間に佐倉市付近で120ミリ以上の猛烈な雨が降ったとみられています。

佐倉市には大雨特別警報(警戒レベル5)が発表され、市内各地で道路の冠水や住宅への浸水が発生したという報告が複数寄せられました。県内では約1万9,500戸が停電しています。

この状況下で撮影されたのが、問題の動画です。

批判の矛先が、なぜか客に向かった

拡散後の反応を見ていて、引っかかったことがあります。

安全面を心配する声が大半でしたが、その中に混じって「浸水しても打ち続けるなんて依存症だ」という趣旨の批判が目立ちました。「店が燃えてもラーメンを食べ続ける人と同じ」といった揶揄も飛んでいます。

気持ちは分かります。分かりますが、ここには少なくとも2つの見落としがあります

見落とし①:あの夜、多くの人が「帰れなかった」

同じ時間帯、千葉県内から上がっていた投稿を並べてみてください。

  • 「まだ帰れん」
  • 「パチ屋から帰ろうとしたら道路がヤバい」
  • 「気付いたらパチ屋から帰れない」

道路が冠水し、外に出られない状況だったということです。1時間に120ミリという雨量は、傘をさして歩ける世界ではありません。

この状況で店内にいた人を「依存症」と決めつけるのは、単純に事実確認が足りていない。むしろ、明るくて座れる屋内に留まった判断のほうが、外に飛び出すより安全だった可能性すらあります。

見落とし②:電源を落とすかどうかを決めるのは、客ではない

そして、こちらが本題です。

浸水した店内で台の電源を入れ続けていたのは、店の判断です。 客が決められることではありません。

ホールの島の足元には電源が通っています。そこが水に浸かっている状態は、業務用の電気設備が冠水しているのと同じです。この判断の責任は、事業者側にあります

同じ夜、緊急閉店を選んだ店があった

ここが決定的です。

同じ13日、千葉県内の別の大型店では、店長名義で緊急閉店の告知が出されていました。内容を要約すると、大雨特別警報の発令を受け、客と従業員の安全を最優先として、ただちに閉店するというものです。

対応
県内の別店舗(同日)特別警報を受けて即時閉店を判断
問題の店舗浸水した状態で台が稼働

同じ災害、同じ地域、同じ業界。それでも判断は分かれました。 つまりこれは「災害だから仕方がない」で片付く話ではなく、明確に運営判断の問題です。

「客が帰らないから閉められない」という理屈も成立しません。閉店を決めれば、客は帰ります。決めるのは店です。

浸水と通電が、どれだけ危険か

感覚的な怖さではなく、公的な情報で確認します。

関西電気保安協会は、水害時には電気設備類が故障していれば感電の可能性があるため、停電していても分電盤のブレーカーを切ることが重要だとしています。洪水で電気類が濡れた状態のまま突然通電すると、感電や火災の危険性があります。

「停電していてもブレーカーを切れ」というレベルの話です。通電したまま床が水に浸かっている状況が、どれだけ想定外かが分かります。

今回の豪雨を受けて、経済産業省も14日、浸水した家電製品は漏電や火災につながる恐れがあるとして、電気店などで安全を確認したうえで使うようXで注意喚起しました。停電復旧時の通電火災についても警告しています。

建物側の対策には、国のガイドラインがある

さらに言えば、この問題は制度として整理済みです。

令和元年東日本台風による内水氾濫で、マンション地下の高圧受変電設備が冠水し、エレベーターや給水設備が使用不能となる被害が発生しました。これを踏まえ、国土交通省と経済産業省が「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」を令和2年6月に取りまとめています。

大規模な集客施設の電気設備の浸水対策は、すでに国が指針を出している領域です。「誰も想定していなかった」という話ではありません。

ユーザーの反応

この動画への反応を要約して紹介します。

  • 「島の足元に電源が通っているのを知っているだけに、見ていて本当に怖い」という声(危険性を指摘する反応要約)
  • 「なぜ電源を落とさないのか。従業員も危険に晒されている」という指摘(店側の対応を批判する反応要約)
  • 「同じ日に安全を優先して緊急閉店した店もある。対応の差が大きすぎる」という指摘(比較からの批判の反応要約)
  • 「浸水しても打ち続けるのは依存としか思えない」という指摘(客側を批判する反応要約)
  • 「道路が冠水して帰れなかった人も多い。中にいた人を一律に責めるのは違う」という声(前提に反論する反応要約)

4つ目と5つ目が、まさに今回の論点の分かれ目です。

「パチンコだから」で思考が止まっていないか

あえて書きますが、これが飲食店やスーパーの映像だったら、批判は間違いなく店側に向かっていたはずです。「なぜ客を残したまま営業を続けたのか」と。

ところがパチンコ店だと、「そこにいた客が異常だ」という方向に流れやすい。この反射は、事故の再発防止という観点では有害です。

問うべきは「なぜ電源が入ったままだったのか」であって、「なぜそこに人がいたのか」ではありません。前者は改善できますが、後者を叩いても何も変わりません。

この件から持ち帰るべきこと

打ち手側の自衛策としても、整理しておきます。

状況判断
特別警報・警戒レベル5が出た収支に関係なく即時撤退を検討する。命の話
すでに外に出られない無理に出ない。ただし濡れた床と電源から離れる
店内が浸水し始めた台から離れ、従業員に状況を伝える。座り続けない
店が閉店を判断した速やかに従う。持ち玉の扱いは後日で構わない

とくに2行目。「帰れない」と「打ち続ける」は別問題です。避難的に屋内へ留まるのは合理的な判断ですが、浸水した床の上で通電中の機械に触れ続ける理由はどこにもありません。

まとめ

浸水した店内で台が稼働していた。この映像が怖いのは事実です。ただ、その怖さの原因は「そこに客がいたこと」ではなく「電源が入っていたこと」です。

同じ夜、同じ県内で、安全を最優先して閉店を決めた店がありました。判断は可能だったということです。

災害時の対応は、業界全体の信頼に直結します。ホールは多くの人が長時間滞在する施設で、しかも足元に電源が走っている。この構造を持つ以上、避難判断の基準は明文化されているべきだと思います。

批判するなら、正しい場所に。それが次の被害を減らす唯一の方法です。


※本記事は2026年8月15日時点の公開情報に基づきます。降雨量・被害状況はNHKニュース、千葉県防災ポータルサイト、ライブドアニュース(弁護士ドットコムニュース配信)を参照。経済産業省の注意喚起はITmedia NEWS(Yahoo!ニュース掲載)、水害時のブレーカー対応は関西電気保安協会の見解を報じたリスク対策.com、電気設備の浸水対策ガイドラインは経済産業省および国土交通省の公表資料を参照。緊急閉店の告知および現場のSNS投稿はパチンコ・パチスロ.comの掲載内容を参照しています。問題の店舗の具体的な状況や営業判断の詳細については、店舗側からの公式な説明が確認できていないため、本記事では店舗名を記載していません。ユーザーの反応はSNS上の投稿を要約したもので、原文の引用ではありません。

パチンコ・パチスロは18歳になってから。適度に楽しむ遊びです。のめり込みに注意しましょう。

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